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~場面緘黙(ばめんかんもく)の経験と克服の記録~

後遺症や生きづらさの改善には「段階」がある!前向きな言葉が響かない段階→とにかく不満を吐き出す!

私は、前向きな言葉を見るたびに思っていました。

 

「うるせー!それが出来てりゃこうはなってねーんだよ!!」とか、

「はいはい経験してない人は良いですね!わかんないですよね私がどんなに辛い思いしてここまでやってきたかなんて!!!」とか、

「あなたはね?あなたは出来たかもしれないよね?生きやすくなったかもしれないよね?でも私は違うから。あなたとは違うから!!!」とか。

 

かと思いきや

「てかさぁ・・・これが出来ない私が駄目なんじゃない・・・?」とか

「いや私より辛い思いしてる人とかいっぱいいるし・・・悲劇のヒロインぶってるのとか・・・どうなの・・・?」とか、

「この人が出来たんだから、私も頑張らないとダメじゃん・・・」とか。

 

とにかくポジティブな言葉が響かず、「お前に何がわかる!」と「やっぱ駄目だ私」という怒りと自虐が交互に襲ってくる現象が起きていました。

 

今現在はポジティブな言葉を聞いても、特に負の感情が動くことはなくなりましたが、

急に考え方が変わるわけではありません。

様々な「段階」を踏んで、初めて考え方が変わっていきます。

 

この「段階」という言葉。

SNS上で見つけたOKAMATIさんの一連のスレッドがとてもわかりやすかったので、

今回は私の経験と併せて紹介していきたいと思います。

 

 

※段階とは、後遺症や生きづらさが改善していく時の、心の変化のことです。

自分の心が今どの段階にいるのかを把握することは、後遺症や生きづらさの改善に大変役に立つことと思います。 

 

※ちなみに、上記で言っている「ポジティブな言葉が響かない段階」はこちらから飛べます

 

 

 

自分と向き合い、改善していくための段階とは

 

 

OKAMITIさんはアスペルガーの改善で書かれていますが、

私の生きづらさが改善された時も同じような段階をたどっていきました。

様々な問題を抱えた人全般に言えるのではないかと思います。

 

①自分に疑問を抱く時期・②一皮むける時期 

これはあくまでも個人的な感覚。
私が自分と向き合いアスペを改善して行く時は段階があった。

【①自分に疑問を抱く時期】
発達障害という言葉を知ったり、周囲から指摘されたり、自分と他者の違いに気付いたりして疑問を抱く。
自分を知ろうとする初期段階。自分と向き合う入り口。
OKAMATI@アスペ主婦ブログ @OKAMATI1

 

【②一皮むける時期】
情報を得たり言葉を知ったり等で一皮むける。
急に「そういうことか!」と自分の殻を破ったような、全てがわかったような気持ちになる。
この時の感覚はかなりの快感だから人に伝えたくなる。
OKAMATI@アスペ主婦ブログ @OKAMATI1

 

 「初めて場面緘黙という言葉を知ったとき、とても安心した。」

こういった経験をした方は多いのではないでしょうか。 

 

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www.raisemeup.work

 

「どうして話せないのか、自分でもわからない」状態から、

「私が話せなかったのは、「場面緘黙」だったからなんだ!」という納得がいく理由を言われた時の安心感ったら、なかったですよね。

周りが開けたような、そんな感覚がありました。 

 

 

③承認欲求が高まる時期

【③承認欲求が高まる時期】
②の後に改善していく事で自分の変化を感じやすい時期。

この時期は『自分の変化を感じる+頑張ってる自分で満たされる+今までの不安感、劣等感の反動の大きさ』が影響して承認欲求が高まる。

しかし、この時期はまだ承認欲求を自覚できないせいで
「定型と発達障害の橋渡しをする!」とか「自分は発達障害に困っている人を助けたい!」とか思いがち。

OKAMATI@アスペ主婦ブログ @OKAMATI1

 

う〜ん、、、身に覚えがあります。

先ほどの続きですが、

私が「同じ場面緘黙で困っている人を助けたい!」と思っていた時期に描いた漫画です↓

 

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そういえば、ブログを始めた最初の動機もこれだった気がします。

ーー人を助けたいーー

個人的には、その精神は大切だと思います。結果的に私がブログを立ち上げた行動力にも繋がっていますしね。

 

とにかくやる気がありました。周りがキラキラ輝いていました。

当時の私は、その勢いのまま、

旦那に「私は同じ場面緘黙の人を助けたい!勇気づけたい!」ということを話しました。夢を語ったのです。

が、ここで旦那から衝撃の一言。

 

旦那「自分のことだって手一杯なのに、人のこと助けてる場合じゃなくない?」

 

( ゚д゚)

 

この言葉を聞いた私は、次の瞬間には顔真っ赤にして「なにくそーーーーーー!!!!!」と激怒していました。

ちょっとした喧嘩にも発展しましたね。

 

当時は「人の気持ちを踏みにじるとは!なんて冷たい人なんだ!!」と泣き叫び、

その後ずーーーーん・・・と気持ちが沈み、しばらくふさぎ込んだりもしました。

 

しかし・・・

 

生きづらさが改善された今の状態で思い返してみると、

この段階では「人を助けるだけの余力がない」ということは、

紛れもなく事実なのです。

 

まだ、自分自身と向き合い始めたばかりの段階。

自分が何者なのか、ということを知っていくのは、これからなのです。

この後が、長い長い道のりなのです。

 

※旦那の名誉の為に書いておきますが、決して冷徹な人でなく、客観的に物事を見ることが出来る人で、大変尊敬できる人です

 

「カウンセラー養成講座を開くと、
『いや、むしろカウンセリングを受けられたほうが良いのでは?』という人が結構な割合で受講に来る」という話について、
この「人のお役に立ちたい衝動」には身に覚えがあるので、
「なるほどと思う」という感想をツイートしたところ、
「悩みを抱えながら→

→カウンセラーを目指している当人」から、長い長いリプライを頂戴したことが。
図らずも、「話を聞いてほしい人が、話を聞く仕事を目指している一例」を得てしまい、
あのときのものすごーくシンドイ気持ちは大層忘れがたく。

ぱふ @ppaaffuu

 

私にも身に覚えがあり、「なるほど」と思います。

 

「人のお役に立ちたい衝動」が、悪いわけでは無いのですが、

この時期に必要なのは、役に立つことではなく、自分自身と向き合い、自分自身と対話することなのです。

 

時期が違う・・・としか言えないです。

 

 

④絶望期

【④絶望期】
承認欲求の高まりすぎで痛い目にあったり、改善し続けた事により新たな自分の問題点を発見する事により新たな壁にぶつかる。
③の時期の反動によりかなり凹む。
そして、自分の不安に気付く。
この時期には不満が出やすいが、自分の中に溜まっていた毒を吐ききる事が重要。

OKAMATI@アスペ主婦ブログ @OKAMATI1

 

もしかしたら、②③の時期を通り越してここにたどり着く方もいらっしゃるかもしれません。

私の場合、旦那の「人のこと助けてる場合?」発言がきっかけでこの時期に入りました。

 

最初の方で書いた「前向きな言葉が響かない」時期は、ここだと思います。

とにかく自分の中で不安になったり、へこんだり、怒りがわいてきたり・・・。

感情のコントロールが出来ていませんでした。

 

この時期に大切なことは、まさに”自分の中に溜まっていた毒を吐ききること”です。

怒り・悲しみ・不安感などですね。

マイナスな感情を出しきることが重要です。

 

オススメは紙に書き殴る、というやり方。

頭の中でグルグル思っているより、紙に書き出した方が断然効果的です。

手を動かしている内に、スッと気持ちが落ち着いてきます。

 

個人的には、ツイッターで呟くより、紙に書いた方が効果があると思っています。

理由は、

・誰にも見られない

・反応が無いことが当たり前だから、反応を気にするモヤモヤがなくなる

・どんなに人の悪口を書いても咎められない

・文字数や文脈を気にしなくていい

等があります。

 

人の反応が無いというのは、案外大きな利点の一つかなと思います。(人の反応なんか全く気にならないと言う方はSNS上でも良いかもしれませんが)

 

こんな感じで↓

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注意して頂きたいのは、

自分の中の毒を吐き出す時期であるにもかかわらず、

人の成功体験を見て、「私も頑張るぞ!」と自分を奮起させようとしてしまう方。

 

これは危ないです。

 

SNS等を見ていても、

とにかく「前向きに!」「頑張るぞ!」を押し出している人がいます。

心から前を向いている人なら良いのですが、

「毎日辛い・・・でもこういう時こそ、前向きにならなきゃね!」とか

「嫌なことがあった・・・でも頑張るぞ!良いとこ探し!ファイトー!」とか、

自分の辛かった感情から目をそらしています。

その人の心が泣いているのが、文字からも伝わってきて、こういうツイートを見るたびに泣きそうになります。

 

もう一度言いますが、これは危ないです。

 

ネガティブな感情を抑えつけた上でのポジティブな考えは、いずれ破綻します。 

負の感情は出し切ってしまわないと、心に余裕が出来ず、前向きな感情も入れることが出来ません。

 

怒りや悲しみ、辛いことを口にすることは悪いことではありませんので、

私の書いている事に対する不満があれば、大いに「なつ(このブログの管理人)の言ってることウザすぎ!!!」って言って下さい。

※その場合は紙に書く方向でお願いします。SNS上だと繊細な私がその書き込みを見てへこむ可能性が出てくるので・・・(笑うとこ)

 

 

あ、あと、

個人的に思うのは、この時期は不快なニュースは積極的に見ないようにするといいと思います。

せっかく吐きだした不満も、新たな不満で埋め尽くされて、吐いても吐いても終わらない地獄になりそうなので・・・。

私はこの時期、テレビのニュースやツイッターのタイムラインは見ないようにしていました。

不快なニュースを見て余計な燃料を使いたくなかった為です。

それが結果的には良かったと思うので・・・。

 

 

⑤不安解消期

【⑤不安解消期】
④で毒を吐ききる事により自分に新たな余裕が生まれ自分の不安と対峙する時期。
初めて④で自分の抱える不安感の大きさを自覚できるから、どうしても不安感の根本と向き合わなければいけなくなるが、恐れず向き合えば解消できる。
そして、不安感を解消できれば次のステップに進める。

OKAMATI@アスペ主婦ブログ @OKAMATI1

 

”不安感の根本と向き合う”

これがけっこう辛かった記憶があります。

長年かけて作り上げてきた認知の歪みは、ちょっとやそっとのことでは治せません。

何度もくじけそうになりながら、自分自身との対話をしていきました。

www.raisemeup.work

 

④で不満を吐き出したからこそ、出来たことだと思います。次に進めるための余裕が出来るんですよね。

本を読んだり、人の意見を参考にするだけの余裕も生まれ、行動力も出てきます。

 

私の場合は、④と⑤を行ったり来たりしていました。

⑤をやってて、不満が出てきたらまた④に戻って毒を吐く…みたいな。

 

 

⑥自己受容の時期

【⑥自己受容の時期】
ある程度の不安の根本を解消すると完全に自己受容できるようになる。
「これが私だ」と全て受け入れられ、精神的にすごく穏やかになる。
そして、過去と今と未来が繋がり、穏やかに自分と向き合い改善に取り組む事ができるようになる。

私の改善は大まかに分けるとこんな感じ。

OKAMATI@アスペ主婦ブログ @OKAMATI1

 

ありのままの自分を受け入れる=自尊心・自己肯定感の回復

ここが、「場面緘黙のゴール」といえる到達点だと思います。

場面緘黙のゴールについてはこちらから↓

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まとめ

今現在、自分がどの段階にいるのかを知ることは、

自分自身と向き合うために重要なことです。 

 

というか、

どの段階にいたとしても、自分と向き合うことは必須な気がします。

けっこうしんどいのですが、乗り越えた後は驚くほど心が軽くなります。

 

個人的にオススメしたいのが、

④の時期に、紙に感情を書きなぐり、

⑤に時期に、心理系の本を読む。

です。わりと簡単に出来て効果的だと思いますので。

 

私は図書館で気になった題名の本をいくつか借りて流し読みしてました↓

 

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ただし、④でちゃんと毒を出してから行動して下さい!

 

 

ちなみに、私は②から今の状態になるまで7年かかった。
長いなぁと感じるけど、この先の生きやすさを手に入れるためだと考えたら短いとも思う。
まぁ、人生常に勉強。学びがあるのはありがたい事だ。

OKAMATI@アスペ主婦ブログ @OKAMATI1

 

私自身も、①〜⑥になるまで7年かかってます。

長いようですが、”この先の生きやすさを手に入れるため”を考えれば、確かに短く感じますね。

 

無理はせず、自分のペースで少しずつ前に進んで行ければ良いですね。

 

 

補足 

漫画の文字の転写。ごちゃごちゃしてしまうので、

こちらに書いておきます。

 

 

初めて場面緘黙を知った時①

私が初めて「場面緘黙」を知った時

「これ私だーーー!!!この・・・」

「ばめん・・・「げん」・・・えー「めつ」・・・えーと、ばめん・・・」

「ばめん・・・・・もくしょう!!!」☆読めないーーー!!

 

まず感じた気持ちは「安堵」でした

「私・・・」

場面緘黙症だったんだ・・・」

 

目の前がフッと明るくなって肩の力が抜けた感覚を、今でも覚えています

(私が悪い訳じゃなかったんだ・・・)

(喋れないのは私の性格とか、暗さが原因じゃなかったんだ・・・)

(ああ良かった・・・)

(心が軽くなった・・・)

 

「極度の人見知り」「恥ずかしがり屋」説明できなかった現象の数々がピタリと当てはまり

モヤがかっていた自分自身の輪郭が、形を成したように感じました

ある特定の場所・状況でだけ話せなくなってしまう・症状が大変強く何年たっても自然には症状が改善されず、長引く場合がある・家ではおしゃべりで家族以外のコミュニケーションは全く問題ないのに、家族以外や学校で全く話せないことが続く・不安症や恐怖症の一種※「場面緘黙Wikipedia「かんもくネット」抜粋

 

 

 

初めて場面緘黙を知った時②

私は、話せないのは、ずっと、自分が悪いから、自分が弱いから、自分が暗いからだと思っていました。

周りの子が「あたりまえ」にしているおしゃべりを、私だけが「あたりまえ」に出来ないという事実が、とても恥ずかしかったのです

 

そして今なお、自分が「場面緘黙」だと気づかず、苦しんでいる方々はきっと、

私のように、自分を背見ている方が多いのではないかと思います

 

だから「場面緘黙」という症状を、「まだ場面緘黙を知らない当事者」の方に、一番知ってもらいたいなぁと思っています

(もちろん「たくさんの方に知ってもらいたい」は大前提ですが)

「私は自分の体験を絵で描くくらいしかできないけど」

 

私は「自分が悪い訳ではない」と思えることが、

「場面緘黙」と向き合う第一歩へと繋がる気がするのです