場面緘黙の後遺症とは?「話せるようになったのに生きづらい」4つの原因とは?!
『場面緘黙の後遺症の一つ』
大人になって声が出なくなることは無くなったが、雑談は苦手なまま。
特に複数人居るときは地獄。
~場面緘黙からコミュ障に進化~
周りの人にとっての会話のラリーが
【お遊び☆テニスサークル】「いっくよ~」「そ~れぇ」
こんな感じだとしたら
私にはソレがプロテニスプレイヤーの速さで見えている。
※プロの中にド素人が下手に入って流れを止めたくないし、そもそも入るタイミングすらわからない
場面緘黙の後遺症は、会話の練習がしたくても出来ない環境の中、体が大人になったからといって急にプロの世界に放り込まれる、
そんな感じなのかなと思いました。
みなさん、「場面緘黙の後遺症」をご存じですか?
場面緘黙だった方の中で、この「後遺症」に悩まされている方は少なくありません。
場面緘黙は治ったのに、生きづらさを感じる・・・。
話せるようになったのに、大人数や雑談は苦手で不安になる・・・。
その症状は、もしかしたら場面緘黙の後遺症かもしれません。
そこで今回は、場面緘黙の後遺症についてや、原因について書いていきたいと思います。
こんな人にオススメ
・現在、場面緘黙のお子さんをお持ちの方
・現在後遺症の方で、原因を知りたい方
・後遺症について知ることで、予防したい方・克服したい方
場面緘黙の後遺症とは?
「人前で話せるようになって場面緘黙を克服出来たのに、大人数になると話せなくなる・・・」
「話せるようになりさえすれば、毎日楽しく過ごせると思ったのに、自分がどう思われているか不安になって結局人と関われない・・・」
場面緘黙を克服し、日常生活で無理なく話せるようになった方の中には、このような考えを持っている方も数多くいらっしゃいます。
・二人なら話せるけど、大人数が苦手
・雑談が出来ない
・人の目が気になり、自分の気持ちを言えない
・言葉が出てくるまでに時間が掛かる
・対人関係が苦手
・人からの評価が気になってしまう
等々・・・。
場面緘黙が治っても、人間関係に苦手意識をもってしまったり、対人関係による不安から生きづらさを感じている。
これらをまとめて「場面緘黙の後遺症」と呼んでいます。
要するに、
「場面緘黙を経験したことにより出てきたしまった二次障害、または生きづらさ」
ということですね。
後遺症に悩まされている人はとても多く、
「場面緘黙は、話せるようになったら終わり」とはとても言えない状況であると言えますね。
場面緘黙の後遺症の4つの原因とは?
場面緘黙の後遺症の原因を4つにまとめてみました。
現在お子さんが場面緘黙である親御さんは、この辺りも注意して見て頂けると、よりお子さんの成長のサポートが出来るかなと思います。
①社会性・コミュニケーション能力の欠如
場面緘黙の期間に身につけるはずだった社会性やコミュニケーション能力を、培うことが出来なかった。
原因の一つはこれです。
上の漫画が、まさにこの状態を表していますね。
ツイッター上でこの漫画をあげた際、
「わかる」「私も同じ!」といった意見をたくさん頂きました。
“場面緘黙が長引くデメリット”でも触れています↓
学校以外でも、安心できる場所(支援級や療育などを通して)で少しずつコミュニケーションの練習が出来るようになるといいですね。
②不安になりやすい気質
元々、場面緘黙の方というのは「不安になりやすい気質」を持っています。
話せるようになったからといって、元々の気質が変わるわけではありません。
気質についての記事はこちらから↓
コミュニケーションが過不足で、人との関わりが上手くできるかどうかわからない・・・そんな不安感も、次の行動に制限をかけてしまう要素になります。
不安になりやすいことも、原因の一つと言えるでしょう。
不安との付き合い方を見直していくことが必要になります。
③場面緘黙と併発している不安障害
付随する問題
場面緘黙児のほとんどは、それ以外になんらかの不安に関連した病名を診断されている。
多く見られるのが、社交不安障害、分離不安障害、完全主義的傾向、強迫的傾向などである[1]。
また、病名はないが、特徴的な問題も含めて以下に挙げる。
社交不安障害
社交不安障害の子供は、他人からの否定的な評価を恐れ、自分が何かみっともないことを言ったり、したりするのではないかと過度に気を遣う。
具体的には、友達と遊ぶのを避けたり、人前で食べられなかったり、公衆トイレが使えなかったりする。
このように、もし場面緘黙と同時に他の不安障害を併発していた場合、
場面緘黙は治っても、他の不安障害が原因となって、生きづらくなってしまっている可能性があります。
こちらは「場面緘黙の後遺症」とも言えますが、「不安障害」とも言えるので、
場面緘黙が治っているのであれば、
緘黙とは切り離して考えてみることも大事になってきます。
私自身も、場面緘黙の時に不安障害を併発していました。
気づいた時の衝撃をイラストにしたものがこちらです↓
④自尊心・自己肯定感の欠如
場面緘黙の子の場合、「話す」という行為は毎日のことですから、
ほぼ毎日、”自分は出来ない”という事実と直面することになります。
年齢を重ねれば重ねるほど、自己否定の感情が積み重なって、大きくなっていき、
「自分はダメな人間なんだ」という歪んだ考えが根付いてしまいます。
これは大変な問題で、 たとえその後「場面緘黙」から抜けだし、話すことが出来るようになったとしても、 考え方の歪みから「場面緘黙の後遺症」としてその後の人生が生きづらくなってしまう方が後を絶ちません。
以前書いた記事の「デメリット③二次障害が起きる」から引用しました。
私は、最も重要な原因はこれであると思っています。
場面緘黙の時、「話せない自分」「出来ない自分」がいる場面に多く直面すればするほど、自己否定の感情が芽生え、自尊心・自己肯定感といった感情が育たなくなってしまいます。
自尊心とは「良いところも悪いところも、全て含めて自分を受け入れ、尊重出来る心」
です。
場面緘黙の後遺症に関わらず、
生きづらさを感じている人は、この『自尊心』が低い人が多いのです。
場面緘黙の影響で低くなってしまった自尊心を高めていくことが、後遺症克服への第一歩となるでしょう。
現在お子さんが場面緘黙である親御さんは、自尊心を低くしないような声かけをしてあげることが、後遺症にならないためのキーポイントになります。
まとめ
場面緘黙の後遺症の原因は、
・社会性・コミュニケーション能力の欠如
・不安になりやすい気質
・場面緘黙と併発している不安障害
・自尊心・自己肯定感の欠如←ここが重要
この4つです。
場面緘黙の時点で、これらの原因を一つづつ対処していければ、
後遺症にならず、生きづらさを感じなく成長していくことが出来るはずです。
後遺症はなまじっか話すことが出来るため、「場面緘黙だった頃より辛い」といった声もあるほどです。
私の場合、場面緘黙は6年、
後遺症はなんと20年弱苦しめられました。
後遺症は、予防できれば一番なのですが、もしなってしまったとしても克服出来ます(時間は相当掛かりますが)。
自尊心の回復、または下げないことが重要だということを覚えて頂ければ幸いです。
克服に関しての記事はまた随時書いていきたいと思います。
あわせて是非
※書き終わり次第追記します
「克服」を本気で目指す人向けの記事です↓
場面緘黙の後遺症の克服に必要なことを書いた記事↓
※書き終わり次第追記します