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~場面緘黙(ばめんかんもく)の経験と克服の記録~

場面緘黙って何?人見知りとは違う?長引くデメリットとは

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「学校嫌だなぁ・・・。
家から出るとどういうわけか一言も話せなくなっちゃうし・・・。
もう一ヶ月以上も言葉が喉で詰まってしまう感じになるの・・・。」
 
「あなたは恥ずかしがり屋だもんね。でも家ではおしゃべりしてるじゃない。人見知りはそのうち治るわよ」
 
「ちょっと待った!その症状・・・」
「もしかしたら、場面緘黙かもしれませんよ!」
 
 

場面緘黙かもしれません

「場面緘黙」←こちら、読めますでしょうか?
私は初めて見たとき、”緘”の字で躓いてしまい読めませんでした^^;
 
正解は、”場面緘黙(ばめんかんもく)”と読みます。
 
家では普通に話せるのに、学校などではとたんに話せなくなり、黙り込んでしまう。
それは自分の
・極度の人見知り
・恥ずかしがり屋
・シャイ・内気な性格
・暗い性格
に原因があるからだ・・・。と思っているあなた。
 
そして
「あの子全然喋らない」
「そういえばあの子の声聞いたことないなぁ」
という子どもが周りにいるあなた。
 
あなた(子ども)が話せなくなるのは、もしかしたら「場面緘黙」が原因かもしれません。
 
私自身、この場面緘黙に悩まされた経験者です。
まだまだ認知度が低く、理解されにくい症状であるため、
より多くの方、特に当事者やその周りにいる方々に知って欲しいと思い、今回の記事を書くに至りました。
 
 

人見知りとは違う?場面緘黙とは 

”声が出せない、と言われても、ちょっとよくわからない”
”要するに人見知りでしょ?”
”話せないだけで、生活態度は普通なんでしょ?なら、何も問題無いんじゃない?”
 
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
 
ではみなさん、イメージしてみて下さい。
舞台に上がり、大勢の人が注目する中、スピーチをしなければならない時。
または、複数の面接官を前にしての面接試験の時。
緊張して上手く喋れなくなったり、
動きがぎこちなくなってしまうこと、ありますよね。
 
こういった緊張が他の人より強烈で、
学校など、緊張しなくてもいい場面でも症状が出てしまい、
それが長い間続いてしまう。
 
場面緘黙とは、こういうイメージです。
学校にいる間、ずーっと緊張しっぱなしなんて・・・
考えただけでも、心や体に良くない!って思いますよね。
 
 

場面緘黙が長引くデメリット 

場面緘黙早期発見早期支援がとても大事です。

なぜなら場面緘黙は、放置すればするほど、
心身に支障をきたすデメリットがたくさん襲いかかってくるからです。
 

デメリット①自分の意見が言えない

場面緘黙の子の中には、
授業中、先生に当てられても答えることが出来ない子もいます。
クラスメイトに「どっちがいい?」と聞かれて、頭では選んでいるのに答えられない子もいます。
「ありがとう」「ごめんなさい」が言えず、心を痛めている子も数多くいます。
 
場面緘黙の人は、残念ながら、喋らないから何も考えていないと思われがちですが、そんなことはありません。
むしろ、沢山のことを考えすぎて、上手くまとめられないくらいなのです。
 
自分の意見を言えないというのは、
先生に叱られたり、いじめの原因になる可能性も。
辛い思いをする結果、不登校になってしまう子も少なくありません。
 

デメリット②社会性が育たない

人見知りの方ですと、
時間と共に人や環境にも慣れ、少しずつおしゃべりが出来るようになりますよね。
人と会話が出来るようになれば、交友関係も広がり、社会性も身についていきます。
 
しかし場面緘黙は、話せない状態が長期にわたって続きます。
このままの状態が続くと、他人との関わりがなくなり、社会性が身につく機会を失うことになります
 

デメリット③二次障害が起きる

例えば、
・テストで平均点より下だった。
・運動で足の速い子に抜かされた。
・習い事で、入賞を逃した。
など、周りの子と比べて「自分は出来ていないなぁ、ダメだなぁ」なんて思っちゃうこと、ありますよね。
 
場面緘黙の子の場合、「話す」という行為は毎日のことですから、
ほぼ毎日、”自分は出来ない”という事実と直面することになります。
 
(家では話せるのに、どうして声が出なくなるんだろう。)
(どうして自分は、話せないんだろう)
(他の子と同じように話せない自分は、なんてダメなんだ・・・)
 
年齢を重ねれば重ねるほど、自己否定の感情が積み重なって、大きくなっていき、
「自分はダメな人間なんだ」という歪んだ考えが根付いてしまいます。
 
これは大変な問題で、
たとえその後「場面緘黙」から抜けだし、話すことが出来るようになったとしても、
考え方の歪みから「場面緘黙の後遺症」としてその後の人生が生きづらくなってしまう方が後を絶ちません。
 
 

さらに詳しく

場面緘黙の発症は200~500人に1人と言われています。学校に1人いるかいないか、という確率です。
意外と多い、という印象ですね。
 
発症年齢は2~5歳が主で、女の子の方がやや多いようです。
海外の研究では、不安障害の一種と考えられており、認知行動療法が用いられたりしています。
 
症状の出方は人それぞれで、かなり差異があります。
 
国語の音読のような、言葉が決まっているものなら声を出せる子もいれば、
先生に指されても何も言えず、だまったままの子もいます。
無表情で、全く顔に感情が表れない子もいれば、
いつもニコニコして、遊ぶことが大好き、ただ話すことが出来ない、という子もいます。
声が出せないだけではなく、体も動けなくなってしまう”緘動”という症状が出る方もいます。
家でも全く話せなくなってしまう症状を”全緘黙といいます。
 
 

最後に

多くの場面緘黙の方が、話せないことについて
”言葉が喉に詰まって出てこない感じ”と、表現しております。
 
自分の気持ちを言葉で伝えることが出来ないので、周りから誤解されやすいという難点もありますね。
 
場面緘黙の方達は、そこにいるだけのお人形ではないのです。
意見を言えないことで、
「この子には何を言ってもいい」と思ったり、
「適当にあしらっても問題無い」なんて思わないで下さい。
 
みんな、感情を持った、一人の人間なのです。
話せないけど、笑ったり、泣いたり、怒ったり、傷ついたり・・・誰よりも繊細な心を持っているのです。
 
どうか、一人でも多くの場面緘黙の方達が過ごしやすい環境が増えますように。