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~場面緘黙(ばめんかんもく)の経験と克服の記録~

場面緘黙の支援は「安心」を届けること!様子見で何もしないのはNG!

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「場面緘黙のことを相談したら、「様子を見ましょう」って言われたんだけど・・・。
本当にこのまま何もしなくていいの?」
「場面緘黙は、自然に改善されるものではないですよ」
 
「支援を受けずに話せるようになった方もいますが、
それは本人のものすごい努力と、運良くそろった周りの環境があったからこそ。」
「大変な道のりです。」
 
「適切な支援を受け、環境を整えたり、本人の不安を取り除いてあげることが、
とても重要になります」
 
「早い内から適切な支援を受けることが出来れば、
場面緘黙はきっと改善できますよ」
 
 

場面緘黙の支援について

 

 

「様子を見ましょう」で本当にいいの?

場面緘黙の支援に関することでよく言われがちなのは、
「そのうち話せるようになります。様子を見ましょう」
です。
 
「そのうち話せるようになる」というのは、
「場数を踏んでいくうちに、段々話せるようになっていく」
と言うことだと思うのです。
 
しかし、そもそも「話す」という行為が出来ないのだから、
「場数を踏みたくても踏めない状態が場面緘黙
なのです。
 
何の支援も受けることが出来ず、
大人になっても場面緘黙が治らず、今でも苦しんでいる方がいらっしゃいます。
様子を見ていて、必ず治るという保証はどこにもありません。
 
 

支援①「不安」を減らし「安心」を増やすこと

園や学校で話せなくなってしまう場面緘黙の子が多いのは、
たくさんの人がいる場所では、不安が大きくなってしまうからです。
 
場面緘黙の子にとって「不安」は大敵です。
支援の第一歩としてすべきことは、不安をなるべくなくしてあげること。
つまり「安心」を増やしてあげることなのです。
 
そのためには、親と園・学校との連携が不可欠です。
場面緘黙の子が「安心」を得るためには、
周りの方の場面緘黙に関する理解が大事になってきます。
 
ここをクリアすることが、場面緘黙支援の第一歩です。
※ここについては「最後に」でもう一度触れています。
よろしければご覧下さい。
 
 

支援②場面緘黙児の「安心」を増やすためには、先生やクラスメイトにも「安心」を!

「先生やクラスメイトにも安心をって、どういうこと?」
「場面緘黙の子は分かるけど・・・先生や生徒達に不安はないのでは?」
 
場面緘黙の子は、
どうして自分が話すことが出来ないのか分からず、不安を抱える子が大勢います。
が、
 
同じように、『場面緘黙』というものを知らないと、
「この子はどうしては話さないのだろう」と、
周りの人も不安に思ってしまうものなのです。
 
場面緘黙を経験した私にとっても、非常に悲しいことなのですが・・・
話せる人たちから見たら、話せない子というのは、
「何を考えているか分からない、未知の子。」なのです。
 
わからない、未知というのは、人の不安をかき立てます。
 
人間が幽霊を怖がったり、死の不安を感じたりするのは、正体がわからないからです。
場面緘黙児は、自己開示が出来ない故、
「正体が分からない!不安!怖い!」と無意識に感じてしまわれがちです。
 
そのため、
「まさかわざと話さないのでは?」
「何を考えているかわからない」
「何も考えてないんじゃないの?」等、誤解を受け、
 
周りの不安に繋がり、叱られたり、からかわれたり、離れられてしまうのです。
 
この「正体が分からないものに対する不安」の解消法は、「知ること」です。
「場面緘黙」という難しい言葉を使う必要はありません。
「あぁ、あの子はそんな理由があって話せないんだな」と納得が出来る言い方で、
場面緘黙について知ってもらうことが出来れば、
話せない理由を知る=未知ではなくなる=安心
という構図ができあがります。
 
クラスメイトが低年齢のうちなら、なおさら受け止めやすくなるでしょう。
先生やクラスメイトが安心していないと、
場面緘黙の子が安心できる環境にはなりません。
 
「理解」までいかなくても「話すことが難しい子がいる」ということを知るだけでもいいのです。
「わからない」から一歩先へ進むことが、支援の一つでもあるのです。
 
 

支援③「スモールステップ」とは

周りの「環境」、当人を含めた周囲の「安心」が整ったところで、
いよいよ次なる支援に入ります。
 
場面緘黙の支援として取り入れられている方法として、「スモールステップ」と呼ばれるものがあります。
 
 
つまり、
いきなり「富士山登るぞー!」ではなく、
「じゃぁ手始めにそこの砂場の山から登っとこう!」
というように、
 
出来ることから徐々にやっていく。
 
というやりかたです。
場面緘黙の支援ではとても有効とされています。
 
「出来ることから徐々に」というのを聞いて、
「よーし!じゃあまずは簡単なところで、挨拶から!挨拶くらいなら出来るでしょ!」
という方もいらっしゃるかもしれませんが、
それは大変危険です!
 
挨拶は一見簡単そうに見えますが、
場面緘黙の方の多くは、挨拶のハードルが高い場合が多いのです。
 
大切なのは、その子にとって(←ここが本当に重要今できることを見極めること!
ひとえに場面緘黙児と言っても、一人一人出来ることには差があります。
スモールステップを進める際は、その子にとって適切な順番を見極めながら進める必要があります。
 
出来ないことを嘆くより、今できることに目を向けて下さい。
 
スモールステップで徐々に段階を踏んで、出来ることを増やして行けば、
本人の自己肯定感や自信を身につけさせることが出来ます。
この「出来た!」という気持ちがとても大事です。
 
 
 
スモールステップに関してこちらの本が大変参考になります。
具体的に、かつわかりやすく書いてあるため、初めて「場面緘黙」関連の本を読まれる方に特にオススメです。
チャート式になっているのもポイントで、今自分が出来るところはどこなのか、がわかりやすく可視化されます。
 
どうして声が出ないの?

はやしみこ/かんもくネット 学苑社 2013年09月10日
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最後に

場面緘黙の支援について綴って参りましたが、
についての項目での補足を一つ。
 
場面緘黙の子が「安心」を得るためには、
まずは周りの方の場面緘黙に関する理解。これが大事になってきます。
ここをクリアすることが、場面緘黙支援の第一歩です。

 

と書きました。
 
が、
実はけっこう難しい。
ここが、最大の試練だったりします。
 
場面緘黙の支援が受けられなかった方の中には、ここが上手くいっていない方が非常に多いのです。
・親が場面緘黙を知らなかった、または治療に消極的(そのうち話せると思っている等)
・園や学校が場面緘黙についての理解がなかった
・親も園も学校も、当事者でさえ場面緘黙についての知識がなかった
 
このように、場面緘黙はその認知度・理解度ゆえ、
不安を安心に変えられず、周りの環境が整わず、
適切な支援を受けられない方が数多くいます。
 
私も、支援を受けられなかった一人でした。
 
場面緘黙の存在が認知され、整った環境下で過ごせる人達が増えることを願っています。 
 
 
どうして声が出ないの?

はやしみこ/かんもくネット 学苑社 2013年09月10日
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